確認日: 2026-07-23
この記事を読む前に
既存顧客や見込み顧客に関するデータを広告運用に使う前に、用途と取り扱いを整理するための記事です。オーディエンス設定は配信効率の話だけではないため、準備するデータと確認責任を分けて説明します。
結論
ChatGPT AdsのCustom Audiencesは、広告主が保有する顧客または見込み客のメールアドレス・電話番号リストを使い、キャンペーンの包含、除外、ad groupの入札調整を行う機能です。
Custom AudiencesはContext Hintsとは役割が違います。Context Hintsは関連し得る会話の文脈を補助しますが、Custom Audiencesは広告主のファーストパーティデータを基に、オーディエンス単位の制御を行います。
ハッシュ化してアップロードする場合でも、通知、同意、権利、法的根拠の確認は必要です。
Context Hintsとの違い
| 項目 | Context Hints | Custom Audiences |
|---|---|---|
| 基になる情報 | 会話トピック、意図、キーワードのヒント | 顧客・見込み客の識別子リスト |
| 設定階層 | Ad group | Audience作成後、campaignまたはad groupで利用 |
| 主な用途 | 関連し得る会話の補助 | 包含、除外、入札倍率 |
| 個人データ | 通常は入力しない | メール・電話番号等を扱う |
| 完全一致 | 特定会話への配信を保証しない | 個人を選択・表示できない |
| ガバナンス | 広告文脈の品質管理 | 同意、法的根拠、ファーストパーティ性が重要 |
3つの利用方法
Campaign-level inclusion
選択したCustom Audienceに含まれる人だけを、キャンペーンの配信対象候補にします。既知顧客、会員、商談対象などへ限定したい場合に使います。
Campaign-level exclusion
選択したCustom Audienceに含まれる人を配信対象から除外します。既存購入者、直近申込者、広告対象外の会員などを除く用途です。
Ad-group audience bid adjustments
対象Custom Audienceに一致する場合に、ad groupの最大入札へ倍率を適用します。これは配信対象を決める機能ではなく、対象者に一致した場合の入札強度を調整する機能です。
確認日時点では、0.1xから10xの範囲が案内されています。複数Audienceに一致した場合は、最も高い倍率が適用されるとされています。
導入前ガバナンス
OpenAIのAd Tools Termsでは、Audience Dataは広告主のファーストパーティデータであり、データブローカー、データ市場、第三者データ供給者から購入・取得したデータを使用しないことが求められています。
導入前に次を確認します。
- データの取得元を説明できる
- 利用目的をユーザーへ通知している
- 必要な同意、権利、法的根拠を確保している
- オプトアウト、異議、同意撤回を反映できる
- センシティブ情報や禁止データを含まない
- Audience名からセンシティブ属性を推測できない
- 委託先がデータの出所ではなく、加工・送信のみを行う
- 社内で作成者、承認者、利用期限を管理している
Audience名に「特定疾患患者」「借金相談者」など、個人の健康、財務、その他センシティブ属性を示す表現を使うべきではありません。
ファイル検証
2026年7月23日時点の公式仕様は次の通りです。
| 項目 | 確認日時点の仕様 |
|---|---|
| ファイル形式 | UTF-8のCSVまたはTXT |
| UTF-8 BOM | 使用可能 |
| 最大ファイルサイズ | 500MBまたは500,000,000 bytes |
| 最大識別子数 | 5,000,000件 |
| 識別子型 | 1アップロードにつき1種類 |
| 対応例 | email、phone number、SHA-256 hashed email、SHA-256 hashed phone |
| 最小matched users | 25,000人 |
| 推奨規模 | 100,000人以上 |
| 編集 | 作成後に直接編集不可。新規Audienceを作成し旧Audienceをarchive |
| 処理時間 | 通常20-30分程度。ファイルにより変動 |
| アップロードファイル保持 | 処理後に削除され、通常24時間以内 |
CSVにヘッダーを付ける場合、公式が認める列名を使用します。TXTは1行につき1識別子です。メールと電話番号、平文とハッシュ値を同じファイルへ混在させません。
電話番号は国番号を含むE.164形式、ハッシュ値は公式の正規化ルールとSHA-256形式に従います。ハッシュ化したデータであっても、法的な義務は残ります。
campaign・ad groupへの適用
包含と除外
同じキャンペーン内で包含と除外を併用できます。ただし、同じAudienceを同じキャンペーンで包含と除外の両方には設定できません。
包含後に除外した最終対象も、最小25,000 matched usersを満たす必要があります。
入札倍率
入札倍率は、Custom Audienceに一致するユーザーへの最大入札を上下させます。誰がキャンペーン対象になるかを決めるものではありません。
設定時は次を記録します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Audience名 | センシティブ属性を含まない管理名 |
| 利用目的 | 包含、除外、入札倍率 |
| 対象campaign・ad group | 名称とID |
| 倍率 | 0.1xから10xの範囲 |
| 根拠 | LTV、既存顧客、優先度等 |
| 開始日・終了日 | 利用期間 |
| 承認者 | データ利用を承認した担当 |
| 更新方法 | 新Audience作成と旧Audience archive |
ステータスと失敗時の確認
| Status | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| Processing | 処理中 | 完了を待つ |
| Ready | 最小規模を満たし利用可能 | Campaignまたはad groupへ設定 |
| Too small | 25,000 matched users未満 | リスト範囲、重複、無効値、対象規模を確認 |
| Failed | ファイル処理失敗 | UTF-8、形式、識別子型、サイズを確認 |
| Upload pending / Indexing / Publishing | 中間処理中 | 完了まで利用しない |
アップロード行数とmatched usersは一致しません。無効値、重複、照合できない識別子はmatched usersに含まれません。OpenAIは個人単位の一致結果を広告主へ表示せず、特定個人を選択する機能も提供していません。